サトウ シンタロウ
  佐藤 真太郎   スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科   准教授
■ 標題
  ソチオリンピックボブスレー日本代表のトレーニングにおける事例的研究
■ 概要
  ラトビアと日本のオリンピック代表の体力的要素に関して以下のようなデータが得られた。
氷上プッシュトレーニングが優れる者はBob Push(陸上でのボブスレー用具を使用しての全力疾走)のタイムにおいても比較的優れたタイムを出している例があることから、Bob Pushは選手の選考という点でラトビア、日本の監督の判断材料の一つとなっている。そのBob Push と高い相関関係を示した代表的な項目として、20m sprint(p<0.01)とBP(p<0.01)があげられる。本研究の結果は陸上競技のスプリント種目とは大きく異なる点があった。それはBP(ベンチプレス)とPush Bobという走運動の相関関係が認められたということである。陸上競技の短距離選手における体力的要素の検討はいままで多く行われてきたが、最大疾走速度、加速局面での疾走速度などとBPの相関関係が顕著に認められたという研究報告は無い。本研究では、機体に模した物体を押すという動作の際には、下肢で発生させた力を効率的に物体に加える為に、BPなどに使われる上半身の筋力が使用され、Push Bobのタイム短縮に貢献している可能性が示唆された。
また、静止した状態からの急激な加速力を要求される20m sprintがPush Bobと高い相関関係を示した。これらの事から、ボブスレーのトレーニングでは、50m程度の距離を積極的に強化するよりもスタンディングの姿勢から20m程度の距離以内において自身の身体を急激に加速させる能力と、その加速力を余す事無くボブスレーの機体に伝えるための上半身の筋力が重要であることが示唆された。

  ◎佐藤真太郎,只隈伸也,琉子友男,春日芳美,鹿島丈博,田中博史,川本竜史,石井和男,鈴木寛,宮崎久,黒岩俊喜,小林竜一
  共著   大東文化大学紀要<自然科学>   大東文化大学   (39),48頁   2015/03


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