オノダ リョウイチ
  小野田 竜一   社会学部 社会学科   講師
■ 標題
  罰行使の動機推定が評判に与える影響:複数の罰選択肢を用いた検討
■ 概要
  罰を与えることが罰行使者の評判を高めることによって適応的となりうるかどうかは、罰行動を説明する上で極めて重要な問題である。しかし、この問いに関する実証的知見はまちまちである。本研究では、Raihani and Bshary(2015)の議論に基づき、罰行使者の動機がどのように推定されるかが罰行使者の評判に影響する可能性を実証的に検討した。本研究では、回答者が各罰行使者の動機を推定しやすいようにデザインされた場面想定法の質問紙実験を採用した。想定させた各場面は、社会的ジレンマでの非協力者と、その非協力者を4種類の罰のいずれかを用いて罰する罰行使者を表していた。その後、回答者は罰行使者の動機を推定し、その印象を評価した。実験の結果、推定された動機は罰行使者が利用した罰の種類によって異なり、罰行使者に対する評価もその種類で異なることが明らかになった。本研究の結果から、罰が用いられる文脈が罰行使者の評価に影響を及ぼし、それが最終的に罰行使が適応的であるかどうかを決定する可能性が示唆される。
  舘石和香葉, 小野田竜一, 高橋伸幸
  共著   社会心理学研究   日本社会心理学会   36(3),96-103頁   2021/03


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